亡き友に捧げる哀歌

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・綿貫より、(化けて出る前の)高堂へ。
・さりげなく、「七里ヶ浜の哀歌」のメロディーに合わせて歌えるようになっています。 
※「七里ヶ浜の哀歌」…三角錫子作詞の唱歌。100年ほど前に鎌倉で起きたボート遭難事故を歌った、鎮魂歌。「真白き富士の嶺」とも。


亡き友に捧げる哀歌

  風吹く秋の日 われ湖畔に立ち
  仰ぎ見るは 竹生の島
  莫逆の友よ 帰らぬ友よと
  呼ぶ声さえ 波間へ消ゆ

  萩の浜辺より その舟漕ぎ出で
  進みゆくは 湖底の国
  ボートは帰らぬ 友も帰らぬ
  戻りて来よ 涙も落つ

  憂き悩み多し 岸辺を離れて
  君は今も 櫂をその手に
  彼方此方へと ひとり漕ぎゆくか
  汝が想いぞ 誰が知るらん

  湖の深き しじまに響くは
  風の音か 侘びしきかな
  君がゆく道の 安からんことを
  とこしなえに 祈り願う

  やがて風もやみ ひとり岸辺にて
  思い出すは 在りしかの日
  共に語らいて 嗚呼青春の日
  されど今は ひとり思う

  来し方行く末 時は流れゆき
  君は失せぬ われ生くる
  君よまたいずれ 再び逢い見ん
  願いつつも われ生きん

2011.4.9